カスタマイズカンタンな、ウォールパネルができました。
朝起きて、パソコンの前に座る。
ヤフーニュースや、SNSを眺めたりしながらコーヒーを飲む。
別に知りたい情報もないんだけど、一応って感じ。
毎日のルーティン。
目線を少しはずすと、目の前にはなかなか派手なウォールパネルが8枚。
2020年、春に描いた。
コロナにのんきなパンチをお見舞いする気持ちで。
もともとパソコンとスケッチブックで仕事をしている私にとってステイホームは慣れている。
家で過ごすのも大好きニンゲンだけど、ミーティングまでオンラインになると、さすがに外に出たくなる。
机上の拘束から解放されたいわ、と思っていたとき
久しぶりのマクドナルドで、ド派手な壁を見て「これだ」とピンときた。
そうだ、私の大好きな「壁遊び」をしよう。
外に出れない、友だちに会えない、カネがない、など
「家で過ごさな、しゃーないな(しょうがないな)」というとき「余白の壁」はよい遊び場になる。
プロジェクターで映画を映す?好きな写真を飾ってみる?
色々アイデアを模索した結果、「組み合わせ自由な絵」をつくることにした。
絵は空間の印象をつくるし、何よりぼんやり眺めていられるのがいい。
飽きたら変えればいいし。
テーマは「飲みものとの関係図」。
味云々は置いておいて、私は「飲みものの存在」自体がカッコイイと思っている。
料理の方が主役かな、と思いがちのところ、じつは何を飲むかがムードを支配しているのではなかろうか。
「このあと一杯どお?」とか「お茶でもいかが?」なんて誘い文句世界No.1じゃない?
飲みもののある風景はドラマチックだ。
飲みものを介した絶妙な人間関係をモデル化し表現する。
「組み合わせ自由な絵」は45cm角サイズを12枚(今のところ)。
1枚だけ飾ってもいいし2枚だけ、4枚組み合わせ…など自在な配置ができる。
組み合わせ次第でそこそこの大きさにもなるし、雰囲気も変えられる。
1枚はわりと手軽なサイズだし、いつでも「余白の壁」に戻しやすい。
じつは前々から「殺風景な会議室、どうにかならんか問題」もアタマをよぎっていた。
さらにコロナの影響で在宅ワークの人も増えたし、ZOOMのリアル背景にも使えるかもしれない。
「リビングをスタジオに、会議室をサロンに」。
あわよくばでもいいので、遊び以外の名目を見つけておくことは大事だ。
こんなことばっかりしていてはアカンな…という気持ちに「これでいいのだよ」と言い聞かせるために。
ちなみに、
オンラインミーティングでその人のプライベート空間が背景に現れると、妙に生活感が出て普段とは違う一面が垣間みれることがある。
私は、そういうの覗き見したいタイプなんだけど、こういう(やらしい)ヤツがいるからか
オンライン用のデジタル背景がたくさん用意されているのもオモシロイ現象だと思った。
アレはアレで、自分をいろんな背景の中に入れ込んでみるのも楽しい。
ちなみに私は映画の「アメリ」や「2001年宇宙の旅」の背景画像にじぶんを入れ込んで1人でニヒニヒしていた。
背景って、深いんだなと感じた次第。
戻ろう。
早速ホームセンターで買ってきた材料を組み立てる。
すでに買ってあったアーティスト気分になるための作業着に袖を通して意気揚々だ。
45cmの板にウォールパネルにするための木枠を打ち付ける。
軽さも大事。(めちゃくそ重い額縁を買って苦労したこともある)
ペンキで描く。
作業着が格好よく汚れたら嬉しいなぁ、なんて考えながら。
だんだん大層な作業になってきたけど、粛々とモノを作るというのは気持ちいい。
手を動かしてモノができあがってくる充実感、これぞリア充。
一年後、今、目の前にある8枚のパネル。
ちょっと減らそうか、出番を待っている他のパネルと入れ替えようか。
いっそ別のものに全とっかえしてしまおうか。
いや、まだこのままでいいか…。
3度目の緊急事態宣言で、今度はどこを遊ぼうかと思案中。
いつでも戻せるはずの我が家の「余白の壁」は、
パソコンの前、和室、リビング、玄関、洗濯機の上…
ここにちょっと、ここにちょっと、とつくりすぎて、
「思いつきでつくっちゃったシリーズ」で侵されている。
余白どころか隙間さえなくなってきた。
まあ、ごきげんな時間の証だと思えば、それもまたよし。
コロナが終息し、みんなの声と飲みもののグラスの音が交錯する
にぎやかな世界に戻ることを夢見て、1人にんまり、ごきげんな壁を眺める。
「茶」
そもそも、飲みものに興味をもったきっかけは岡倉天心の「茶の本」だった。
「すべては絶えず移り変わっている。現在、目の前の現実をかけがえのないものとして十全に受け入れ味わう」
当時、この本を読んだときにメモしていた天心の一節。染みるなぁ。
茶を包括するアレコレの深さに驚いたと同時に、
道具、空間、心にいたる隅々まで計算された細やかなデザインの集まりが大きな文化を作ったんだとも思った。
憧れる。
「珈琲」
珈琲の味がわかれば、大人になれる気がしていた。疲れをフッと癒してくれる、あの感じ。
いつからだろう、自動販売機で自然に珈琲を選んでいたのは。
以前、「コーヒーとデザインのサロン」というイベントで「おいしいを可視化する」ことを試みたことがある。飲み比べをしながら味のイメージにあう模様紙を選ぶ遊びなんだけど、じっくり味わうことに向き合う、豊かな時間だった。
珈琲の「おいしい」には色んなことが含まれているみたい。
「紅茶」
優雅で品がある飲みものといえば、紅茶。
その存在に飲まれて(!?)思わず小指が立っちゃいそうになる。「相棒」の右京さんのキャラクターも見事に際立たせてるよな、と思う。
これを書いていてふと思い出すのは、映画「西の魔女が死んだ」。紅茶がよく似合う映画だった。
主人公の祖母が、夜、彼女の部屋にクッキーをもってやってきて、「たまにはいいでしょ」といって布団の上で食べるシーン。
時々、思い出すんだよなぁ。
「ミルク」
小学校の遠足帰り。
校庭で一同整列して飲んだ牛乳は、ふだん給食の牛乳が苦手だった私でも美味しく感じた。
なぜ、あそこまでして牛乳を飲まないといけなかったんだろう?
ちなみに、牛乳瓶が並ぶ姿はかわいらしいと思う。牛乳って飲む前も飲んだ後も、いつも並んでいるイメージ。
「コーラ」
学校帰りに友だちと寄り道しながらファンタを飲んだら、炭酸がシュワっと効いて、遊んでる感が増した。でもほんとはコーラを選びたい気持ちもあった。外国の味がするし、何よりビジュアルがカッコいいから。赤地に筆記体のCoca-Colaという文字も、ビンのフォルムも。そのまま持っていても絵になるし、ファッション度高め。
でも味の冒険ができない私はファンタだったんだよね。
「ラムネ」
飲みながらにして遊べるラムネ。
あのビー玉のようなガラス玉を必死で取り出そうとする1人遊び。
暑い夏に、大きな樽の中のラムネを見たら夏も悪くないと思ってしまう(一瞬だけ)。
縁日の密かな盛上げ隊長の役割りも担っていると思う。
いつまでも変わらないけど、いつみてもノスタルジックなのだ。
「エスプレッソ」
初めて出会ったとき思わず「ちっちゃ!」と声が出た。なんじゃなこりゃ、しかも苦い!
たくさん砂糖を入れて飲むと教えてもらって、世界には色んなモノがあるんだなと驚いた。
ちなみに、ナポリのバールではお金に余裕のある人が2杯分のコーヒ代を支払って、次に来る見知らぬ誰かのエスプレッソ代を払うCaffè Sospeso(カッフェ・ソスペーゾ)という風習があるそうだ。
粋な文化だ。
「水」
今では当たり前のようになっているが、水を買う時代になるとは思わなかった。
水を買うって、よっぽどだと思ってたけど、たまに気づいたら手にしていて
いつのまに価値観が変わっていたんだ、とじぶんでもフシギに思う。
喉が乾くって、少し恐怖感よぎる。
「ビール」
仕事終わりに仲間と乾杯!したい!久しぶりの友だちと乾杯!したい!
「ビールの乾杯」を思い浮かべるときほど、コロナのバカやろう、と叫びたくなることはない。
今日の一日が充実していたことを味わうなら、ビールが一番だと思う。
プハーっと言うために飲むんだから。
ちなみに、「昼のビールがなぜうまいのか」という自由研究を行った結果、縛りと解放の関係が導き出された(自由すぎる自由研究調べ)。
「ワイン」
ワインを初めて美味しいと思ったのは、びわ湖でのぶどう狩りだった。
ぶどう狩りという名の、本命は焼肉食べて、ワインを飲むという贅沢コース。
これで好きにならないでおくほうが難しい。
ワインを知ったらさぞ楽しいかと思って体験コースにも足を運んだが「雨が降ったあとの土の香りのような味わいです」なんていうことをイメージしながら飲むという、高度な嗜みに、アタマが追いつかず諦めた。せめてもと、ワインラベル収集用のアルバムを買ったけどテーブルワインが主力の我が家ではいつまでたっても集まらないので、放置されることとなる。
「ウィスキー」
知人がウィスキーを集めている。そんじょそこらのお店よりも集まっていて、もはやバーだ。
ボトルが並ぶその棚は美しい。
「少しずつ楽しめるのがいいのよ」と教えてくれて、なんてステキな大人遊びなんだろうと思った。
まだ20代そこそこの頃、同じ年の男性が覚えたてのウィスキーを頼んで大きな氷を指でコロコロさせていて、若干引いたことを思い出すと、ウィスキーは歳を重ねた方が似合う飲みものかもしれない。
「酒」
お酒で失敗するとき、それは日本酒を飲み過ぎたとき。でも、日本酒と和食の組み合わせは最高。
数年前、大阪天満宮で行われた「日本酒100種類飲み比べイベント」は楽しかった。まぐろを片手に好きな酒を飲み比べでき、じぶんの好みの銘柄をメモして帰る。いつも酔って何を飲んだか忘れてしまう私にとって好都合。
それにしても日本の酒の飲み方も特殊。
盃の三三九度や祝いの席の「鏡開き」…升酒のわざと溢れさせるパフォーマンスは毎回「おっとっと」なんて声を出したりしながら興奮を楽しんでいる。「酒を溢れさせる=メデタイ感」ということかな?
【飲みものとの関係図・仕様】
サイズ:45cm×45cm
厚み:7mm
素材:ラワン材・ペンキ
【caprice galleryについて】
つくってみたいものを、つくろう。
何でもアリな、アウトプット実験の場。
いつかリアルなイベントなどでお披露目できればなぁと目論んでいたりも。
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