「偶然」の思考法 〜レンガ絵をつくろう〜

Gori note

のっけから恥を忍んで言いますが、
ボクはものごとをうまく予定通りに進めたためしがありません。
「計画を立てて行動する」というのが、ホントウに苦手。
でもその代わり、いろいろな「偶然」の重なりが今のボクを作ってくれています。
おかげで今、何のスペシャリストか分からなくなりましたが・・・

さて今回は「偶然の発想」というテーマ。
ニュートンの「りんご」の事例を持ち出すまでもなく、
偉大な発明や発見の多くは、
「偶然」がもたらしたものです。

たぶん高専の学生さんはボクとは逆で、
中学校のとき「オール5」とか学年上位の成績だったので、
「ものごとを“行き当たりばったり”で進めること」
をよしとされたことなどは、一度もなかったのではないでしょうか。

「目標に向かって脇目も振らず一直線に」というのもいいですが、
その弊害としてタテワリ発想や、
近視眼的発想になってしまうこともしばしば。
そんなみなさんに「偶然の力」を活かす発想法を体験してもらいました。

話題提供は、
●シュヴァルの理想宮
●ブリコラージュとジュガール
●偶然の発明 の四コマ教材です。

■「レンガ絵」をつくる

今回のプログラムは「レンガ絵」をつくるワークです。
ブロック煉瓦のレンガではなく、短歌の世界で何人かの連携でつくっていく「連歌」であり、その「絵バージョン」です。
はじめのワークは「他の人とは絶対にカブらないであろう、独創的なカタチ」をスケッチブックに描き、それほ他の人に託して「絵」にしていくワークです。

中学校を卒業して高専ぐらいになると、絵を「うまく描く」という観念が強くはたらいてしまい、「子どものような無邪気で、独創的な絵」を描かなくなってしまいます。しかし「偶然」が重なると、「子どもの絵」を通り越して、まるで現代アートのような誰も見たことのないような世界が広がってきます。
そして一回りする頃には、はじめに「カタチ」を描いた人の想像だにしなかったビジュアルができてきました。

■「ものがたり」をつける。

グループ4人で「4枚の絵」ができあがってきました。
次はそこに「ものがたり」をつけていく作業です。
言い換えるとバラバラの絵を、一つの軸で意味付けしていくという作業です。

まるで絵本づくりのワークショップのようですが、そこは高専なので、もうちょっと深い意味があります。つまり「偶然」を「偶然のまま」で終らせるのではなく、そこに意味づけ、言語化できる力を磨き、「コンセプト思考」を身につけてもらう仕掛けです。
とはいえ、とはいえ…、
みんなワイワイと楽しげにストーリーづくりに勤しんでいただきました。

■「ブリコラージュ」的立体表現

偶然の思考法で忘れてはならないのが「ブリコラージュ」という方法。
つまり「ありもので何とかする」という、
人間の人間たる知のいとなみです。

「偶然そこにあるもの」を活用して、創造する」という力は、「急場をしのぐ」「ピンチをチャンスに変える」という、生命力あふれる知の力がつきます。プログラムの後半は「絵本でつくった世界観を、ブリコラージュで立体表現する」というお題です。

平面を立体化していくと、世界観のすりあわせは一気に加速してきました。今まで誰も見たこともない想像の世界が、三次元のカタチを帯びることで、それぞれのイメージが一気に収斂されていきます。そこまでくると「無計画」のいとなみが、徐々に「計画性」を持ちはじめます。ペース配分、役割分担、素材調達。いつのまにかチームワークがまとまり、ボクがいなくてもグングンものづくりが進んでいきました。

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