四海の数と具体美術

Kana note

「数」について意識を深めるというテーマで、4人のアーティストからなる展覧会。
中でも、私は津田道子さんの《あなたは、翌日私に会いにそこに戻ってくるでしょう。》 という作品に心を奪われた。
タイトル通り、翌日もまた会いにいきたくなるというか。

映像と空間を使ったインスタレーションで、天井からフレームがつり下げられている。
フレームは鏡、スクリーン、枠のみ(空っぽ)が用意されていて、鑑賞者はそのフレームの間を行き来する。
フレームの合間を縫うように歩いてみると、今じぶんがどこに立っていて、何を見ているのかが分からなくなって不思議な感覚が訪れる。
そこにまた私でない誰かが横切ったりすると、あれ、あの人、今どこにいる?と、なる。
まるでパラレルワールド。
じぶんが揺らぐ体験ができる作品。

『四海の数』展は、芦屋市立美術博物館で開催されていて、所蔵品である具体美術も一緒に並んでいた。
この具体美術、吉原治良を中心に芦屋で結成された前衛美術グループだそうで。
以前に同館で開催されていた『こどもとおとなーこれ、なににみえる?』では、実験的な数々の作品に圧倒された。
世の中に生まれたばかりの素材をいち早く作品に取り入れたり、みたことない!ものをいかに作るか、といった熱気が伝わってきた。

で、ふと具体美術の具体って何?と気になって。
具体的なものをモチーフとした作品、ということでもないし。
調べた所によると「精神が自由であることを具体的に提示」するという理念に由来しているらしい。
…ややこしい…自由とはなんぞや、っていうカタチのないものの証明みたいな。
代表的なアーティストの白髪一雄は、天井から吊るしたロープを両手でつかんで、
床のキャンバスに足で描くという「フット・ペインティング」を確率したそうな。
実際の作品も「THE勢い」みたいなパワフルな作品だったことを覚えている。
実際に描く姿をみてみたい。
楽しそうじゃない?
たしかに精神が自由で。
で、ちょっとやってみたい。

今回の『四海の数』展の作品や、具体美術の実験的な作品などに触れると、あっという間に視界を広くしてくれる。
それって芸術ということに留まらず、思考そのものを広げるきっかけになるんじゃないだろうか。
とくに学校の美術教育には、実際の作品に出会える機会をたくさん作ってほしい。
例えば常設ギャラリーのような。
保存など問題山積みなのかもしれないけど、出会えない問題が何より勿体ない。
国語、理科、算数、教科ごとの枠だけじゃなくて違うところからその問題に関わってみることで考え方の枠も広がるはず。
芸術がもたらす「数」への問いが、数学嫌いを「好き」に変えることもあるだろう。
違う方向から出会えるチャンスをできるだけ、たくさん。

そうそう、このあいだ天王洲アイルに行ったら、道にどんと、でも何気に置いてある三島喜美代さんの作品。陶器でできてるのよ〜
カッコイイ!

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